【授業レポート】製図で「機械式時計の構造」を学ぶ
今回は、当校で行っている製図授業の様子をご紹介します。
■ 製図の目的:構造理解の第一歩として
本校では、機械式時計のオーバーホール実習に入る前に、ムーブメントの構造理解を深めることを目的として「製図」の授業を行っています。今回取り上げた機種は、大型で扱いやすく構造も見やすいため教材として非常に適しています。
「分解して覚える」ことも重要ですが、その前に「図面から構造を読み解く力」を養うことで、後の整備作業に対する理解の深さがまったく違ってきます。
■ 製図内容:平面図の基本構成
授業では、以下の要素を中心に製図を進めています:
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ムーブメント全体の輪列配置
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香箱・アンクル・テンプ・ガンギ車・各歯車の位置関係
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地板や受けの構造
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ネジや穴石の位置
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駆動伝達の流れ
道具は精密なコンパスや定規で手描きで正確な図面を起こしていきます。
■ 生徒たちの反応と成果
最初はムーブメントの複雑な構成に戸惑う姿も見られましたが、熱心に取り組んでいました。歯車のかみ合わせや各穴車、丸穴車、ガンギ車、アンクル、テンプの構造など、最初は意識しづらい機能が図面として視覚化されることで、構造理解が一気に進みます。
■ 今後の展開
この製図を終えた後は、いよいよ実機を用いた分解・洗浄・組み立ての工程(オーバーホール実習)へと入ります。図面を描いた経験があることで、実物を手にしたときの解像度がまったく違うというのは、過去の卒業生も多く語っている点です。
「製図から始まるオーバーホール」は、手間のかかる工程ではありますが、それだけに時計技師としての土台を築くうえで、非常に大切な授業です。今後もこうした授業風景を定期的に発信していきますのでぜひご覧ください!