【46期生】特別講義 ”振り子の等時性の破れ”

12/17/2019 大阪府時計高等職業訓練校

今年はなんと!
探偵ナイトスクープ物理担当でお馴染みの山田善春先生にご講義をいただきました。



時間とは何なのか?
時間は一定なのか?
時間が流れるとは?
アインシュタインの相対性理論からどう感じることのできるか…
普段とは違う視点で時間を意識しました。


そして、時計といえばボンボン時計!
17世紀にガリレオが発見した「振り子の等時性」とはなんだろう?
このメインテーマを実験を通して考えてみました。

単振動する振り子の周期は、(以下参考画像等はWikipediaより)
という公式は勉強したため記憶にあります(4月の学科の授業)。
(周期T、糸の長さl、重力加速度g)


「振り子の周期は重りの重さや、振る角度に依らず、長さに影響する」






振る角度は関係ないの?ホントに?

ということで、2つの重りで同じ長さの振り子を用意し、
角度を変えて(大きく、小さく)振ってみることに!


何度チャレンジしても、周期が同じになります。


そこで
振り子の運動方程式を考え、自分で公式を導いてみる山田先生。

そして大事なことをお話し下さいました。
この公式は、「近似が使われている(sinθ≒θの範囲内のみで成り立つ)」ということを教えてくださいました。

つまり、約22°までの振り角であれば、周期の誤差なんて無視していいよ!
という優しさが含まれた公式だったのです。




近似を使わない!ホントの公式はなんなんだ!
という欲求が湧いてきます。
この導出もしっかり進めて(今は省略して)、実際は次のような感じになりました。
(角速度ω、振り角θ、そして途中で楕円積分が出てくる美しさも持っております。)


この式には角度があります。変数で振り角のθがあるんです。
どうして無視できるのでしょうか?


・・・めも1・・・
最初の公式を振り子が大きく振れるときに使いたい
45°ならば4%、90°ならば18%ほど+誤差が出てしまうことも2つの公式から解釈することもできます。


これがであるため振り角を無視できたのです。
この振り子の軌道を詳しく書いてみると次の図のようになります。


糸がたわんでいることが見て取れます。
通称、サイクロイド曲線という軌道を描くわけですが、

この軌道を描く場合は周期が同じになる!
ということを後にクリスチャンホイヘンスによって「サイクロイド曲線の振り子」を解明・発表されました。



現在、完成されているボンボン時計では、振り子がこのサイクロイド曲線を描くように、振り竿・ペラ・アンクルにて精度を作っています。
振り竿はたわまない分、ペラという部品がサイクロイド曲線を描くために重要になっているのです。








このような、時計は物理であるという形が、いかに面白いか問うきっかけになりました。
山田先生のような専門講師、実験を用いた授業内容を今後も更に続けていけるよう努力したいですね。
本当にありがとうございました!